SEOにいくらかけるべきかは、多くの初心者が最初にぶつかる壁です。

外注(業者依頼)と自力運用では費用構造が大きく異なります。

本記事では国内相場感と費用内訳を、規模・目的・予算別に具体的な数字で示しながら、外注と内製の判断基準まで丁寧に解説します。

相場はあくまで目安ですが、無駄な出費を避ける基礎知識としてお役立てください。

SEOの費用相場の基本

料金形態の種類

SEOの料金形態は複数ありますが、仕組みを理解すると自社に合う契約を選びやすくなります。

最も一般的なのは「月額の顧問(リテイナー)」か「プロジェクト型(監査・設計)」で、成果報酬は注意点が多いため慎重に検討することが大切です。

月額顧問(リテイナー)

継続的な戦略立案、指示出し、レビュー、定例会を含む形です。

中小向けで10万〜50万円/月、エンタープライズでは50万〜200万円/月が目安です。

長期でサイトを育てる前提のため、3〜6ヶ月以上の継続が前提になりやすいです。

プロジェクト型(監査・設計・移行)

サイト監査、情報設計、移行時のリダイレクト設計などのスポット案件です。

規模により30万〜300万円/回が目安です。

一度の診断で「今すべき改善点」を可視化できるため、内製化の土台づくりにも有効です。

成果報酬型

順位や流入、リード件数などの成果に応じて支払います。

不自然な外部リンクなどリスクの高い手法に誘導されがちなため、KPI定義を厳密にしないと危険です。

「順位保証」や「短期で急増」をうたう提案は特に注意が必要です。

時間単価・スポット相談

戦略レビューや方針相談を1〜3万円/時間で行う形です。

最小コストでプロの視点を取り入れたい初心者に向く一方、実務の伴走は含まれないことが多いです。

研修・内製化支援

社内勉強会や運用フロー整備が10万〜100万円/回程度です。

中長期的に自走したい組織は、研修×月数回のコーチングで立ち上げると効果的です。

費用がかかる項目

SEOの費用は、どの工程にどれだけ投じるかで大きく変わります。

「作戦(戦略)」「作る(制作・開発)」「測る(計測・改善)」の3層で考えると全体像がつかみやすいです。

以下は代表的な項目と相場の目安です。

項目代表的な内容相場の目安
現状監査(テクニカル/コンテンツ)クロール性、内部リンク、重複、E-E-A-T観点30万〜200万円/回
キーワード・競合分析機会分析、優先順位付け10万〜80万円/回
戦略設計/ロードマップ3〜6ヶ月の計画、KPI設計20万〜150万円/回
運用支援(顧問)定例、課題管理、レビュー10万〜200万円/月
コンテンツ制作記事構成〜執筆〜編集1〜20万円/本(専門性で大幅変動)
テクニカル改善速度/構造化/内部リンク改修10万〜300万円/回
デジタルPR/リンク獲得企画〜メディア露出30万〜300万円/回
計測/レポートGA4・GSC・ダッシュボード3万〜20万円/月

リンク購入のようなブラックハットは長期リスクが非常に高いため避けるべきです。

長く効く投資は「情報設計」と「良質コンテンツ」と「技術基盤」です。

小規模サイトの料金相場

小規模(ページ数〜100、月間PV〜5万、リード/月〜50想定)では、自力中心なら月1万〜5万円、外注を絡めると月5万〜30万円が現実的なレンジです。

予算の多くはコンテンツ制作に配分されます。

取り組み方月額の目安主な内訳
自力ミニマム3,000〜15,000円サーバー/ドメイン、基本ツールのみ
自力+スポット助言1万〜5万円相談(数時間)、軽微な修正、少量記事
外注ライト5万〜15万円顧問(5〜10万)+記事1〜2本
攻めの強化15万〜30万円顧問+記事3〜6本+軽微改修

初期監査のみ別途30万〜80万円がつく場合がありますが、「何をやらないか」を決めるうえで費用対効果は高いです。

中〜大規模サイトの料金相場

中規模(100〜1,000ページ)〜大規模(1,000ページ以上、EC・メディア)では、運用は月50万〜300万円、初期監査や大規模改修で数百万円規模になることがあります。

規模月額の目安初期費用の目安主な内訳
中規模50万〜150万円50万〜200万円顧問、編集、制作10〜30本、技術課題対応
大規模/EC150万〜300万円100万〜500万円情報設計再構築、テンプレ改修、在庫連携、スキーマ設計
メガ(ニュース/ポータル)300万円〜300万〜1,000万円専任体制、データ基盤、常時テスト運用

CMSやデータ連携の制約が強いほど技術費がかさむため、要件の複雑性が実質的な「相場」を左右します。

SEOを業者に依頼する場合の費用相場

SEOコンサルの月額相場

中小企業向けでは10万〜50万円/月、エンタープライズでは50万〜200万円/月が一般的です。

範囲には定例会、課題管理、優先度設計、レビューが含まれます。

制作や開発は別料金であることが多いため、見積もりの範囲を必ず確認します。

運用代行の料金

運用代行は「手を動かす」部分までセットです。

記事制作や内部リンク調整、レポーティングまで含むパッケージが多く、月20万〜100万円が目安です。

パッケージ例月額内容例
ベーシック20万〜40万円記事3〜6本、簡易改修、月次レポート
スタンダード40万〜70万円記事6〜12本、構造化/内部リンク、A/Bテスト
アドバンスト70万〜120万円編集体制、監修者起用、技術課題の常時対応

記事単価や改修の難度で総額は大きく上下します。

コンテンツ制作の単価目安

単価は専門性と品質要件で大きく異なります。

YMYL(健康・金融など)やE-E-A-T要求の高い領域は高単価になりやすいです。

種別文字数/仕様例単価目安
一般的なWeb記事2,000〜3,000字、基本調査1万〜3万円/本(3〜6円/字相当)
専門寄り(監修なし)3,000〜5,000字、深掘り調査3万〜8万円/本
監修あり(YMYL含む)3,000〜6,000字、専門家監修5万〜20万円/本
大型特集/調査記事5,000字〜、図版/取材10万〜50万円/本

構成案作成、図版、校閲、ファクトチェックは別費になる場合があります。

サイト修正の費用

技術改修は範囲で大きく変動します。

テーマ/テンプレ改修や内部リンク、速度改善、スキーマ設計が代表例です。

改修項目相場の目安
コアWebバイタル改善20万〜150万円
構造化データ(スキーマ)実装10万〜80万円
サイトマップ/正規化/リダイレクト設計20万〜150万円
カテゴリ/内部リンク再設計30万〜300万円
大規模CMSテーマ改修100万〜500万円

開発会社とSEO会社が分かれる場合は調整コストも見込みます。

成果報酬型の注意点

成果報酬は一見合理的ですが、「短期で成果を作るためのリスキーな戦術」に傾きやすいという構造的な弱点があります。

「順位保証」や「大量の被リンク提供」は避けるのが無難です。

成果定義は「商談・売上などビジネス指標」に寄せ、計測の検証可能性を契約前に詰めましょう。

契約期間と最低料金

顧問は最短3ヶ月〜、一般的には6〜12ヶ月の区切りです。

最低料金は中小向けで月10万〜、大手向けで月50万〜が目安です。

中途解約条件(違約金)や自動更新の有無も必ず確認します。

見積もりで確認すべき項目

見積もりは「範囲」と「成果物」を明確化できるかが肝心です。

KPI・スコープ・責任分界点の3点を必ず文書化しましょう。

  • 目的/KPI(セッションではなくCV・売上を優先できるか)
  • スコープ(戦略、制作、開発、PR、計測の範囲)
  • 成果物(監査レポート、ロードマップ、記事本数、修正チケット数)
  • 体制(担当者の実務経験、稼働時間/月、連絡チャネル)
  • レポート頻度と内容(GA4/GSCの共有とダッシュボード)
  • 依存前提(開発リソースや素材提供の必要条件)
  • 契約(期間、更新、支払、解約、著作権/二次利用)

安すぎる料金のリスク

相場から著しく安い提案は、品質不足やグレー手法の兆候である可能性があります。

「コスト」ではなく「期待成果に対する投資効率」で比較し、根拠のない過大な見通しには距離を置きましょう。

SEOを自分で行う場合のコスト

無料ツールの活用

初心者はまず無料ツールで「測れる状態」を整えるのが近道です。

Google Search ConsoleとGA4が起点で、PageSpeed InsightsやLighthouse、Looker Studio、Googleキーワードプランナー、Googleトレンド、Bing Webmaster Tools、Microsoft Clarityなどを組み合わせると基礎は十分です。

最初の数ヶ月は無料でもできることが多いです。

有料ツールの費用目安

有料ツールは「効率」と「精度」を買うイメージです。

運用が回り始めてから段階的に導入すると無駄が出にくいです。

ツールカテゴリ代表例料金目安
総合SEO(競合/KW/被リンク)Ahrefs、Semrush等15,000〜30,000円/月
クロール/監査Screaming Frog 等40,000〜60,000円/年
順位計測GRC 等1,000〜3,000円/月
企画/原稿支援コンテンツ最適化ツール10,000〜30,000円/月
ダッシュボードLooker Studio拡張等0〜5,000円/月
生成AI支援文章・要約・構成支援2,000〜5,000円/月

円換算は為替で変動するため、最新の価格表を確認してください。

サーバー/ドメイン費用

小規模なら共用レンタルサーバーで十分です。

サーバーは1,000〜2,000円/月、ドメインは1,000〜3,000円/年が目安です。

VPSやクラウドは2,000〜5,000円/月以上、CDNは0〜2,000円/月程度から導入できます。

WordPressのテーマ/プラグイン費

テーマは無料でも可能ですが、有料テーマ(5,000〜20,000円/買い切り)は制作効率と速度で有利です。

プラグインはSEO、キャッシュ、構造化などで0〜15,000円/年程度を見込みます。

入れ過ぎは速度低下の原因になるため厳選します。

記事制作のコスト

自分で書く場合の見落としがちなのが時間コストです。

1本あたり調査〜執筆〜入稿で4〜10時間が目安で、時給2,000円換算なら8,000〜20,000円/本の機会費用です。

外注は前述の単価表を参考に、構成案と編集体制に予算を寄せると品質が安定します。

学習にかかる時間とコスト

基礎のキャッチアップは書籍/記事で十分可能です。

1〜2ヶ月で基礎、3〜6ヶ月で実務型に到達するイメージです。

費用は書籍数冊(5,000円前後)〜オンライン講座(1万〜5万円)が一般的です。

月いくらで始められるか

目安として、以下の3段階を参考にしてください。

「計測を整える→記事を出す→改善する」順で投資すると効果的です。

スタートライン月額目安できること
ミニマム3,000〜10,000円サーバー/ドメイン、無料ツール、月2本執筆(自力)
標準10,000〜50,000円低額ツール、画像/図版、月4本執筆、軽微な外注
拡張50,000〜150,000円競合ツール、外注記事数本、簡易監修、改善サイクル加速

固定費は小さく、変動費(制作)を柔軟に組むのがコツです。

外注と自力のコスト比較と判断基準

予算別のおすすめ

限られた予算では「優先順位の決め方」を外部に相談し、実作業は内製が費用対効果に優れます。

潤沢な予算なら編集・監修・技術まで体制化しましょう。

月間予算おすすめ構成
〜1万円完全内製+無料ツール。まずはGSC/GA4で計測整備。
1万〜5万円スポット相談(月1〜2h)+内製記事。優先度設計に投資。
5万〜20万円顧問ライト+外注記事少量。編集/構成に厚め配分。
20万〜50万円顧問+月6〜12本制作+軽微改修。計測と改善を月次運用。
50万〜150万円編集体制+専門家監修+技術改善の定常運用。

サイト規模別の選び方

小規模はコンテンツの質と継続性に集中し、技術は必要最低限で十分です。

中規模はカテゴリ設計や内部リンクが効き目を左右します。

大規模やECはテンプレート設計、在庫/フィード、スキーマの整備がボトルネックになりやすく、開発体制の確保が鍵です。

目的別の選び方

目的により費用配分は変わります。

「何を伸ばしたいか」を先に決めると無駄が減ります。

リード獲得(BtoB)

ホワイトペーパーや比較記事、CV導線最適化に比重。

少量高品質×計測の精度が効きます。

EC売上

カテゴリ最適化、在庫/レビュー構造化、商品データ品質が重要。

テンプレ改修とスキーマへの投資がリターンにつながります。

認知/ブランディング

話題性のある企画記事とデジタルPR。

拡散×被リンクの自然獲得を狙います。

ローカル(店舗)

ローカルパックと評価管理、NAP整合、ページ速度。

GMB(現Googleビジネスプロフィール)最適化と口コミ施策に注力します。

ハイブリッド運用(内製×外注)の費用感

ハイブリッドはコスパの良い運用形です。

戦略/編集/監修を外注、執筆/入稿/画像作成は内製として、月10万〜40万円で月4〜10本の安定運用が狙えます。

技術課題は四半期に一度スポットで30万〜100万円の改修を入れると、基盤が維持できます。

費用対効果の考え方

SEOは「投資→学習→複利」の性質があります。

ROIは(増加売上の粗利−投資)/投資で評価します。

例えば、月5万円の投資で検索流入が月1万PV増、CVR2%、CV単価の粗利3,000円なら、粗利は600,000円(1万×2%×3,000円)、ROIは(60万−5万)/5万=11となり高い投資効率です。

ただし成果顕在化まで3〜6ヶ月以上かかる点を織り込んで判断します。

無駄な出費を防ぐコツ

  • 監査→優先度→実装→検証の順番を崩さないこと
  • KPIは「順位」ではなくCV/売上/商談で合意すること
  • 使わない高額ツールは持たないこと(導入は段階的に)
  • 量産より少量高品質+継続改善
  • 契約は小さく始めて段階的にスケールすること
  • 被リンク購入や順位保証には近づかない

まとめ

SEOの費用は、料金形態、サイト規模、目的、体制によって大きく変わります。

小規模なら月1万〜5万円の内製中心でも十分に成果の芽を作れ、外注を絡めれば月5万〜30万円で加速が可能です。

中〜大規模では月50万〜300万円と初期の監査/改修費がかかりますが、情報設計・良質コンテンツ・技術基盤の3本柱に的確に配分すれば費用対効果は高くなります。

外注か内製かは、「優先順位を決める力を外部に借り、実行は可能な限り内製」を起点に、予算や目的に合わせてハイブリッド化するのが現実解です。

数字はあくまで相場ですが、本記事の目安をベースに、見積もりの範囲とKPIを明確にし、無駄な支出を防ぎながら持続的な成長につなげてください。