SEOコンサルタント選びは、投資対効果に直結する重要な意思決定です。

料金の相場観や見積書の見方、実績の読み解き方を知らないと、期待外れやムダな出費につながります。

本記事では、初心者でも判断できるよう、料金と実績、信頼性の見極め方を体系的に解説します。

SEOコンサルタントの選び方

SEOコンサルタントは何をしてくれる?

SEOコンサルタントは、単に「記事を書いて順位を上げる人」ではありません。

事業目標に合わせて、戦略設計から実行支援、計測と改善までを一気通貫でサポートします。

戦略設計と目標設定

ビジネスのKGIとKPIを整理し、ターゲットユーザー、検索意図、競合状況を踏まえた戦略を作ります。

どの指標をいつまでにどれだけ伸ばせば良いかを合意し、月次のコミットメントを明確にします。

調査と分析

キーワード調査、競合分析、サイト構造分析、テクニカルSEO監査を行います。

初心者が混同しがちな用語としてクロール(検索ロボットが巡回)、インデックス(検索エンジンに登録)、ランキング(順位付け)がありますが、これらの阻害要因を特定して解消を提案します。

実行支援とコンテンツ計画

ロードマップをもとに、カテゴリ設計、内部リンク計画、記事企画、コンテンツブリーフ作成、既存ページ改善などを支援します。

必要に応じて編集ガイドラインや執筆体制の整備も行います。

計測と改善

GA4やSearch Consoleの設定、イベント/コンバージョン設計、計測ダッシュボードの用意、定例レポートでの振り返りと次アクションの決定を行います。

数値で進捗を可視化し、仮説検証のスピードを高めることが役割です。

体制づくりと教育

内製化を見据えて、社内が自走できるように運用ルールとナレッジを整えるのも重要な支援範囲です。

オンボーディングや勉強会の実施、チェックリストの整備などが含まれます。

いつ外注すべきか

「時間がない」「やり方がわからない」「伸び悩みの原因が不明」なら外注の検討時です。

リソース不足のとき

専任者がいない、施策が後回しになる、記事本数や改善の手が回らない場合は、短期で成果がブレイクするための加速装置として有効です。

専門性が必要な局面

大規模サイトの移設やサイト構造刷新、YMYL(健康・金融など信頼性が特に重要な領域)対応、テクニカル課題が多いときは専門家の伴走がリスク低減につながります。

事業フェーズに合わせて

新規事業の立ち上げ期は戦略と設計、グロース期はスケールのためのプロセス整備、成熟期は効率化と微差の積み上げなど、フェーズによって求める役割は変わります。

内製化までのブリッジ

一定期間の外部支援で基盤を整え、1年以内の内製化をゴールにする選択もあります。

個人か会社か

個人と会社には一長一短があり、規模や求める成果スピードで選び分けます。

以下の比較が判断材料になります。

観点個人コンサル会社(コンサル会社/代理店)
コスト比較的安い相対的に高い
スピード決裁が速く柔軟体制構築で時間がかかる場合あり
再現性個人スキル依存ナレッジ/プロセスが整備されやすい
セキュリティ/コンプラ個人体制次第契約や情報管理が厳格
バックアップ代替が効きにくい代替担当者を立てやすい
専門領域特定領域に強いことが多い幅広い専門家をアサイン可能
取引規模中小〜ベンチャー向き中堅〜大企業案件に強い

実務を担う「担当者」が誰かを必ず確認し、提案者と実務者が別人の場合は体制とスキルを具体的に聞きましょう。

安全なSEOか確認

Googleの検索基本方針(Search Essentials)に準拠するホワイトハットSEO以外は選んではいけません。

ホワイトハットの原則

ユーザーの利益を最優先に、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を高める施策を積み上げます。

技術的にもコンテンツ的にも、検索エンジンを欺かず、ユーザー価値を創出することが前提です。

禁止手法のレッドフラッグ

有料リンク販売やPBN、隠しテキスト、クローキング、AI生成文の大量スパム、リダイレクト悪用、キーワード詰め込み、使い回しの量産ページなどはペナルティや長期的なリスクを招きます。

提案段階で明確に「不使用」と言い切れるか確認しましょう。

指標の語り方

「被リンクの本数」「ドメインパワー」だけを強調する場合は注意です。

ビジネスKPIと結びついた目標(自然流入、CV、売上、粗利)で話せるかを基準にします。

YMYL領域の配慮

医療や金融などは、有資格者の監修、引用の明示、運営者情報の透明性が不可欠です。

対応方針を必ず確認してください。

料金相場の基礎と見積もりの見方

料金体系の種類

料金は「顧問」「プロジェクト」「時間」「成果連動」の組み合わせで決まります。

体系概要向いているケース
月額顧問定例MTG/レポート/随時相談を含む継続支援継続改善と伴走が必要
プロジェクト監査、移行、設計など明確な範囲で一括請負期間限定の課題解決
時間単価時間ベースのアドバイス/レビュースポット相談、社内教育
レベニューシェア/成果報酬売上やCVに連動予算制約が強いが信頼関係が必要
ハイブリッド顧問+成果連動などの組み合わせ双方のリスク分散

成果報酬は魅力的に見えますが、計測設計と貢献範囲の線引きが難しいため、原則は固定+明確なKPIコミットをおすすめします。

月額の相場感とボリュームの関係

相場はサイト規模と「やる量」で決まります。

規模の目安月額相場(税別)主な提供ボリュームの目安
小規模(〜数百URL)10万〜30万円月1回定例、企画2〜4本、既存改善2〜4本、軽微な技術助言
中規模(数千URL)30万〜80万円月2回定例、企画4〜8本、改善4〜8本、技術課題の優先度付けと要件整理
大規模(数万URL〜)80万〜200万円超週次定例、横断ロードマップ、複数チーム連携、移行/ログ解析/高速化支援
スポット監査50万〜300万円/回フルサイト監査、改善計画、実装方針書
時間単価1.5万〜3.5万円/時間アドバイザリー、レビュー、教育

ボリュームの具体化が不足している見積もりは、「安いのに進まない」リスクがあります。

月あたりの稼働時間や成果物数を確認しましょう。

追加費用の項目

見積もりに含まれないことが多い項目を把握すると、総費用のブレを防げます。

項目相場感の一例備考
記事制作1本3万〜15万円企画難易度、取材の有無、専門性で変動
監修/校正1本2万〜10万円YMYLは監修必須
デザイン制作1ページ2万〜20万円図版やLPなど
開発/改修5万〜数百万円CMS改修、テンプレ変更、速度改善
計測/解析ツール月2千〜5万円Ahrefs/Semrush等の外部ツール
取材費/素材実費+手数料交通費、写真、イラストなど
外部リンク推奨しない有料リンク購入は非推奨でリスク大

「含む/含まない」を契約前に明確にしましょう。

見積書の確認ポイント

金額より先に「何を、どれだけ、いつまでに」を確認します。

  • 範囲と成果物の具体性(例: 記事ブリーフ○本、監査レポート○ページ)
  • 稼働時間の目安と超過時の扱い(追加費用の単価)
  • 定例の頻度と時間、アドホック相談の上限
  • 役割分担(自社とコンサルのTo-Do)と除外範囲
  • 計測設計とレポートの粒度(ダッシュボード提供有無)
  • 契約期間、途中解約条件、成果物の所有権とデータの帰属
  • セキュリティ/秘密保持、ツール費用の負担

これらが曖昧だと、「言った/言わない」の摩擦になりやすいです。

安すぎる/高すぎるの判断基準

相場は文脈依存ですが、基準線を持つと意思決定が速くなります。

  • 小規模サイトで月額3万円未満は、十分な工数が確保できない可能性が高いです。
  • 中規模で月額20万円未満なら、提供ボリュームの明確化が必須です。
  • 大規模で月額200万円超は、複数人アサインや移行など大型案件の根拠が必要です。
  • 時間単価1万円未満は、経験や品質にばらつきが出やすいです。

投資判断はROIで考えます。

簡易計算は増分CV × 粗利 − 費用がプラスかどうかです。

例えば、自然検索の増分流入5,000/月、CVR1.5%、平均粗利8,000円なら、増分粗利は約60万円です。

月50万円の支援なら採算に乗りますが、SEOは立ち上がりに時間がかかるため、3〜6ヶ月の回収シナリオで検討します。

実績の見方と信頼性チェック

事例は自社に近いか

最も参考になるのは、自社と近い「業種×規模×モデル」の事例です。

EC、メディア、SaaS、ローカルビジネスなど、収益構造が似ているほど学びが転用できます。

CMSやサイト構造、地域/言語展開、法規制の有無も確認しましょう。

成果の数字と期間が明記されているか

起点の数値、施策期間、達成した数値が明示されているかを見ます。

例として「自然流入+120%」「指名以外のCV+80%」「6ヶ月で対象カテゴリのTOP3獲得」など、定義と期間がぶれていないかが重要です。

何をして成果が出たか

「順位が上がった」だけでは不十分です。

どの仮説に対して、どんな施策を、どのページ群に行い、どう改善したかが語られている事例を評価しましょう。

季節要因やキャンペーン影響と切り分けているかも信頼性の指標です。

レポートサンプルと目標の確認

レポートは意思決定を進めるための道具です。

Looker Studioなどのサンプルで、KGI(売上/リード)、KPI(自然流入、CVR、掲載順位、表示回数、クリック率)、行動指標(公開本数、修正数)が整理され、次アクションが明記されているか確認します。

口コミ/レビュー/紹介の有無

第三者の声は大きな判断材料です。

実名の推薦や紹介、事例登壇は信頼度が高い傾向にあります。

投稿プラットフォームは玉石混交のため、リファレンスコール(既存/過去顧客に直接確認)ができるか尋ねると安心です。

担当者の経歴と体制がわかるか

担当者の年数、得意領域(テクニカル/コンテンツ/ローカル/多言語)、類似実績、分析と実装の両輪経験、開発/編集チームとの連携経験を確認しましょう。

「誰がどれだけ動くか」が成果の差になります。

失敗しないためのチェックリスト

以下の観点を契約前に一つずつ確認すれば、ほとんどの失敗は回避できます。

チェック項目何を確認するか例/質問
目標の数字と期限が明確KGI/KPIと達成時期の合意「6ヶ月で自然流入+50%、CV+30%の根拠は?」
計測の準備を支援GA4/GSC設定、コンバージョン設計「イベントとCV定義、実装はどこまで支援?」
優先順位つきの計画(ロードマップ)90日計画と優先度基準「影響度×工数のマトリクスは?」
コンテンツ制作の支援範囲ブリーフ/編集/執筆/監修の分担「月何本、誰がどこまで担当?」
技術的な修正の対応範囲仕様作成、開発依頼、QAの有無「チケット化と受入テストは支援?」
連絡手段と頻度が合うMTG頻度、Slack/メールの運用「平時のSLA、緊急時の連絡網は?」
契約条件が明瞭期間、解約、成果物の権利「途中解約と納品物の権利は?」
危険な手法は不使用と明言有料リンク/自演網などの不使用「Search Essentials遵守を明記できますか?」
社内でできるように教えてくれるドキュメントと教育の提供「運用ガイド/チェックリストは納品?」
費用対効果の考え方を説明できるROI前提と試算の透明性「増分の見立てと追跡方法は?」
リスクとできないことを先に伝える期待値調整と制約の説明「順位保証をしない理由は?」
競合調査とキーワード方針が提示調査手法と選定基準「クラスター設計の方針は?」
無料診断や短期トライアルで相性確認小さく始めて見極め「30〜60日のスモールスタートは可能?」
レポートサンプルと運用体制の提示ダッシュボード、担当者体制図「月次レポートとR&Rの見本は?」

ここで曖昧な項目が残る場合は、契約を急がないことが肝要です。

まとめ

SEOコンサルタント選びの本質は、価格ではなく「成果までの設計と実行力」を見抜くことです。

料金はサイト規模と工数で決まり、見積書では範囲とボリューム、稼働と成果物、権利と解約条件を確認します。

実績は自社に近い事例で、期間と数字、実施施策の具体性を見ます。

安全性はホワイトハット準拠とE-E-A-Tの考え方が語れるかで判断し、危険な手法は明確に不使用と約束してもらいましょう。

最後に、本記事のチェックリストで抜け漏れを潰し、小さく始めて速く学び、関係を段階的に拡張するのが失敗しない王道です。